ブラジル音楽史上最高のポップ・メーカーの一人、マルコス・ヴァーリ。ボサノヴァからキャリアをスタートさせ、ソウル、ファンク、サイケ、ディスコとその時々のトレンドを巧みに取り入れつつも、類稀なるポップセンス、そして卓越した演奏能力を備え、80年代までにリリースされた全ての作品が名作とされている。そんなマルコスだったが、80年代後半になるとブラジルに蔓延した度を越した商業主義によりパタリとアルバムのリリースをやめてしまう。そこに現れたのが本作『NOVA BOSSA NOVA』の制作元であるUKのファーアウト・レコーディングス主宰のジョー・デイヴィスだった。マルコスの音楽を深く理解していたジョーは、彼の音楽性を存分に発揮できる作品を提案し、レコーディング。1998年にリリースされると、当時ベベウ・ジルベルトをはじめブラジル音楽とクラブジャズ、エレクトロニカの融合が世界中のクラブ・シーンで盛り上がりを見せていたこともあり、本作は多くのリスナーに歓迎され、いまだに名作とされ語り継がれている。
タイトなサンバジャズのリズムとエレピ&シンセの絡み合いがスリリングな"Novo Visual"、スローテンポな楽曲を仄かなサイケ風味で聴かせる "Abandono"、4つ打ちのブラジリアン・ハウス "Freio Aerodinamico"、日本をテーマにした "Mushi Mushi"、シンセによるハーモニーが印象的なボサノヴァ "Nova Bossa Nova"、レオン・ウェアと共作した "A Vontage de Rever Voce" を女性ヴォーカルを迎えたラストのセルフ・カバーまで、捨て曲ナシ。ボサノヴァ、サンバ、サイケ、ディスコといった音楽を自在に横断しながら常にポップにまとめあげるマルコスの音楽性がもっとも明快に掲示された、新世代ボサノヴァの金字塔とも言えるだろう。
20年ぶりのリリースだが、その輝きは色あせることなく、むしろ今も新鮮に聴けるのだから、その完成度の高さにはまったくもって驚きである。98年にリリースされたアナログ盤もオークションサイトでは高騰し始めるなど、改めて聴きたい!というリスナーが増えているタイミングなだけに待望の復刻である。
https://youtu.be/WNLXhyktYSA
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