イチベレ・ズヴァルギ。1960年代から音楽キャリアをスタートし、1977年からエルメート・パスコアルのグループの一員となり、現在に至るまでエルメートのブレーンとして活動する作編曲家 / ベーシストである。エルメートの数多くの作品への参加はもちろん、自身のグループでもこれまでにも多くの作品をリリース。今年リリースされたばかりの 『INTUITIVO』 を含め、そのどれもがいまだに名盤として聴き継がれている。また後進の音楽家の指導にもあたっていて、ジョアナ・ケイロスやベルナルド・ハモス、カロル・ペネージといった今注目を集めつつあるブラジルの器楽奏者たちもイチベレ学級の生徒であった経歴を持つ。2017年2018年とエルメート・グループの一員として来日した際もワークショップを開催し好評を博すなど、その影響力は単にリスナーにとどまらず、世界中のミュージシャンにまで及んでいる。
そんなイチベレが2001年にリリースしていたのがこの 『PEDRA DO ESPIA』 である。当時若手だった才能溢れる29名の音楽家を束ね録音された本作は、エルメートの提唱する 「MUSICA UNIVERSAL」 の世界を、イチベレが整理し、若手へと継承。ラボのようにコミュニケーションを繰り返しながら共に作り上げた、まさにイチベレの 「ファミリー・オーケストラ」 による作品だ。 変拍子、独特のコード展開、複雑なハーモニーがめくるめく登場しながらも一糸乱れぬアンサンブルが次々とキメを披露するその内容は、エルメートの世界を継承しつつさらに推し進めたもの。ややもすれば難解になりがちな音楽ではあるが、構成力がとにかく素晴らしく、2CD全16曲というヴォリュームもあっと言う間に感じられるほどの完成度も特筆である。
メンバーにはジョアナ・ケイロス(当時はジョアナ・ヂ・カストロと名乗っていたようだ)、ベルナルド・ハモスといった 『ジェスト』 の2人や、US SUNNYSIDE からの世界デビュー盤も好評を博したヴィトール・ゴンサルヴェスなど、今となってはブラジルを代表する音楽家となった面々もちらほら。ブラジルの器楽奏者にとって、もっとも重要な学校でありファミリーの中心としてイチベレが活躍していたこともうかがえる。
今回の復刻にあたりLPは楽曲を厳選し、LP1枚にまとめ、全曲分のダウンロードカードを封入しているとのこと。エルメート・パスコアルの音楽を受け継ぐ第一人者イチベレの代表作ともいえる、ブラジリアン・ジャズの金字塔である。
http://itiberezwarg.bandcamp.com/album/pedra-do-espia
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