リオ生まれの作編曲家/シンガー、ピリーことピリー・ヘイス。幻といわれるクアルチン・レーベルに残した傑作『VOCES QUEREM MATE(1970)』を皮切りに、ジスモンチのレーベル「CARMO」からリリースした『CAMINHO DO INTERIOR(1984)』、『RIO ZERO-GRAU(1986)』、さらには90年代に入ってからも『COISA RARA(1991)』などの傑作群を発表。寡作ながらにブラジルのミュージシャン、そして熱心なブラジル音楽ファンには知られる人物である。近年は MUSIC FROM MEMORY の傑作コンピレーション『OUTRO TEMPO』に収録されたことによりバレアリック/ニューエイジ文脈で再発見されたことでも知られるが、その高い音楽性と実験精神、ミナス音楽にも通ずる浮遊するメロディはそういった文脈を超えたエバーグリーンな魅力を放っていることもあり、彼の魅力に取りつかれる DJ やレコードコレクターが続出。結果として残されたレコードはどれも非常に高額で取引されるようになった。
そんなピリーがキャリアの転換期ともいえる 1980年に残した作品が本作『PIRY REIS(1980)』である。『AGUA & VINHO(1972)』をはじめ70年代からジスモンチ作品に参加・楽曲提供していたほか、セルジオ・ヒカルド、セリア、カルロス・ウォーカーらの作品に参加し充実したキャリアを送っていたピリーがピリー・ヘイス名義にて最初に発表した作品で、ピリーの最大の理解者でもあるジスモンチ、そしてジスモンチの作詞パートナーとしても知られるジェラルド・カルネイロが中心となり制作されたもの。マイナーレーベルからひっそりリリースされたこともあってか、今日に至るまでほとんど知られることなかったアルバムだが、先述したピリー再評価、そしてブラジルのマイナー盤の魅力に多くの音楽ファン、レコードコレクターが気付き始めた昨今に探し求める人が急増。そのレアリティはもちろん、ヤン・ガルバレクとジスモンチの共演作を思わせる冒頭曲 ”Limites”、エルメート・パスコアルを思わせる高速バイアォン・ジャズ“No Risco Do Relâmpago”、ミナス派にも通じる牧歌的な”Acalanto”、アシッドフォーク的ともいえる”Fim De Folia”などなど、その内容は同時代のジスモンチ作品にも引けを取らないもので、オリジナル盤はオークションなどに出品されればUSD500はくだらない大人気盤として知られている。
しかも今回の世界初リイシューには本作一のキラーチューンともいえる “No Risco Do Relâmpago” のオルタナティブ・バージョンを追加。本作のリイシューを待ちわびていたレコードファンはもちろん、オリジナルを所有している筋金入りのコレクターも必携といえる最高のリイシュー盤となっている。謎が多いことからカルト的な人気を誇るピリー。その素晴らしい音楽の一端がこのリイシューによってついに明らかになる。
https://recordswereleaserecords.bandcamp.com/album/piry-reis-deluxe-edition
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