ベラルーシ生まれでポルトガルを拠点に活動する作編曲家/ピアニスト/ヴォーカリストのカテリーナ・ラドコヴァ。ポルトガルで複数のプロジェクトに参加するだけでなくブラジルのミナス新世代グループ、ウニヴェルソ・ヘフレクソ(Universo Reflexo)や、アルゼンチンの超絶技巧デュオ=エンビチャデロにもゲストで名を連ねたりと南米にも幅広い人脈を持つミュージシャンである。そのカテリーナがポルトガル語のアクセントや響きを探求することを目的に、男性ヴォーカリストのジョアン・ノヴェスと結成したデュオがこのシングラールルガールである。
清廉なカテリーナのスキャットとピアノ、そしてヂオゴ・ドゥケのトランペットでスタートする冒頭曲 ”Jangada”、カテリーナそしてジョアンの男女声によるスキャットが風のように舞うなか、先述のエンビチャデロからディエゴ・コルテスがフルートを披露する"Poeminho do Contra"、同じくエンビチャデロから多彩なニュアンスを表現するドラマー/パーカッショニストのホナタン・スセールが参加した"Travessia"などなど、どの曲も声とピアノを主体に多彩なアンサンブルを披露する好曲ばかり。一方でカテリーナのソロ曲である "Cantiga sem nome" や "Tu Que Derivas" も彼女の神髄を見るようで実に味わい深い。
クラシカルなピアノとその土地のフォークロアを感じさせる歌という意味では、カルロス・アギーレをはじめとするアルゼンチンのネオ・フォルクローレを思い起こさせるが、発声法の違い、そしてカテリーナがベラルーシ出身ということもあるのか、アギーレ達のインスパイア源であるラプラタ川やパンパとはまた異なる、よりシンとした空気が張りつめているのも本作の特徴と言えるだろう。日本ではまったくといっていいほど無名だが、間違いなく今後も様々な場所で活躍するであろう逸材だ。
https://youtube.com/playlist?list=OLAK5uy_kIQxmKDIdVptXWhkT50YC5YYTplyNBZlc
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