現代MPBシーンの躍動を象徴するブラジルのスーパー・グループ、バーラ・デゼージョのメンバーとして知られるシンガー・ソングライター、ゼー・イバーハ。彼が2023年にリリースした1stソロアルバム『Marquês, 256.』は、静けさの中にブラジルらしい「歌」の魅力が宿る稀代の傑作アルバムだった。バーラ・デゼージョの楽曲における祝祭的なムードとは正反対ともいえる弾き語りのテイストは、むしろ彼の美しい歌声を多くの人に届けることに成功。彼が現代MPBシーンを代表する才人であることは、もはや誰の目にも明らかだった。
そして遂に、ゼー・イバーハによる待望の2ndソロアルバム『AFIM』(2025年)がリリースされる。ブラジル国外の流通を手掛けるのは、同じくバーラ・デゼージョのメンバーであるドラ・モレレンバウムやジュリア・メストリの作品をリリースしてきたUKの名門レーベル〈Mr.Bongo〉だ。共同プロデューサーを務めたのは、バーラ・デゼージョかつドニカのバンドメンバーであるルーカス・ヌネス(Key.)。他にもアルベルト・コンチネンチーノ(Ba.)、ギリェルミ・リリオ(Gt.)、ダニエル・コンセイサォンとトーマス・アーヘス(Dr. & Perc.)、シコ・リラ(Rose Piano)、ホドリゴ・パカト(Additional Perc.)といった、アナ・フランゴ・エレトリコやニコラス・ジェラルヂらリオ・デ・ジャネイロのSSWたちの屋台骨を支える実力派ミュージシャンたちが参加した。
アルバムは、ギターとピアノの弾き語りによる前作からさらにジャズやプログレッシブ・ロックなど多彩な要素を取り込み大幅にスケールアップ。フレデリコ・エリオドロが参加、ジャキス・モレレンバウムがストリングスアレンジを手がけた先行シングル「Transe」などオリジナル曲はもちろんのこと、アラゴアスのシンガー・ソングライター、イタロの楽曲「Retrato de Maria Lúcia」や、サンパウロのインディー・ロック・バンド、ソフィア・シャブラウ・イ・ウマ・イノーミ・ペルダ・ヂ・テンポの疾走感のあるパンキッシュな楽曲「Segredo」など、同世代のブラジルのアーティストたちの楽曲のカバーも収録している。ドラ・モレレンバウムと共同で作曲された楽曲「Essa Confusão」(昨年ドラのアルバム『Pique』にも収録された)を収録している点もバーラ・デゼージョのファンには嬉しいニュースだ。
レジェンドから同世代のミュージシャンまで豪華な面々が参加した彩り豊かでダイナミックな作品だが、同時に静謐な世界を展開した前作『Marquês, 256.』との連続性も感じさせ、聴き手をパーソナルな世界からユニヴァーサルな世界へと連れてゆく。カエターノ・ヴェローゾらMPBレジェンドが残してきた名作群に比肩する傑作アルバムだ。
https://mrbongo.bandcamp.com/album/afim
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