ドン・チェリー、ユセフ・ラティーフ、ファラオ・サンダースらと共演してきたスピリチュアル・ジャズ界隈の巨匠パーカッショニストによる無国籍ジャズ傑作。オカイ・テミズもゲスト参加。先述のアーティストのファンはもちろん、ジョン・ハッセル的第四世界ジャズのファンにも推薦です。
先見の明を持つパーカッショニスト兼作曲家のアダム・ルドルフは、半世紀以上にわたり、異なる文化、伝統、背景、スタイルを持つ人々やインスピレーションを融合させる先駆者として活動してきた。とりわけドン・チェリー、ユセフ・ラティーフ、ファラオ・サンダースというスピリチュアル・ジャズの巨匠たちとの長年にわたる共演は、即興演奏、深い傾聴(ディープ・リスニング)、そして文化交流に根ざしたルドルフの広範な音楽哲学を形作る助けとなったのだ。
そんなルドルフの、特定の音楽様式にとらわれないビジョンを反映した作品が本作『Invisible Threads』だ。これは単なる音楽的伝統の融合ではない。それは、極めて個性的な「声(表現)」が交わることで共に形作られ、発見へと向かう旅でもある。『Invisible Threads』の中核にあるのは、絶えず変化し続ける音の風景だ。それは、ルドルフによるライブ・エレクトロニック・プロセッシング、デンマークのベーシスト兼サウンド・アーティストであるイェスパー・ペデルセンによる電子音響操作、そしてマルコ・カッペリによるサーキット・ベンディングを駆使したギター・プレイによって生み出されている。
アンサンブルの他のメンバーは、本作の録音地であるトルコの出身者たちだ。50年以上にわたりアナトリアの民俗音楽とジャズ、そして世界的な即興音楽を結びつける画期的な活動を続けてきた伝説的パーカッショニスト、オカイ・テミズは、ベル、玩具、身の回りの品、手作りの楽器などを使い、遊び心あふれる独創性をもたらしている。ハジ・テクビレクは、世界的に著名なスーフィーのネイ(縦笛)奏者であり、祈りの音楽の伝統に根ざした管楽器の名手。彼の演奏は、卓越した技術と深い精神性を兼ね備え、息遣いを感じさせる長い音色や、複雑で繊細な旋律の装飾を紡ぎ出している。
オズレム・カヤのヴァイオリン、スラ・ゲルバーのフルート、スムル・アウルユリュイェンのヴォーカルは、音楽に温かみとニュアンス、そして表現の深みを与えている。彼女たちの演奏は、旋律、即興、音の質感(テクスチャー)の間を行き来し、プロジェクトが持つリズムの複雑さや電子的な音響世界に対して、有機的な対位法(カウンターポイント)を形成している。
アンサンブル全体が生み出すのは、特定の文化やジャンルといった既知の枠組みに縛られることなく、人間本来の開放感と感情的な豊かさを湛えた音楽だ。それは、文化を超えて人々をつなぐ癒やしの架け橋としての音楽のあり方と、共同での創造を通じて一体感の中に意味を見出す力の証と言えるだろう。
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