ポップ・ミュージックの消費サイクルの早さがこれまで以上に加速し、それに対応するようにコンピュータで効率よく編集された過剰に刺激的な音楽に溢れる中、それは誰しもの人肌を緩やかに、確実に麻痺させていくだろう。そんな中で、鍛錬の末のアンサンブル、妥協のない丁寧なレコーディング、そして誰しもが今日に抱える不安や悲しみ、やり場のない気持ちに誠実に寄り添うムーンズの音楽は、その穏やかな表層とは裏腹に強い批評性を帯びている。(ライナーノーツより一部抜粋)
ブラジルという枠をこえて多くの音楽ファンに支持されつつあるブラジルの新しい音楽家達。前作『THINKING OUT LOUD (THCD-561)』がブラジル版ニック・ドレイク 『ピンクムーン』 と称されたバンド MOONS (ムーンズ) も、そんなバンドのひとつだろう。前作から一年もたたずにリリースされる本作 『DREAMING FULLY AWAKE』 は英国的なインディーロックを体現していた前作に比べると、よりアメリカのトラディショナルなムードを踏襲したサウンド・コンセプトと言える内容に。ジョン・レノンの 70’Sソロ名作『心の壁、愛の橋』や、世界的ポストロック・バンドのヨ・ラ・テンゴあたりを彷彿させる、繊細なメロディと音数の少ないアンサンブルで彩られた真夜中のサイレント・ポップとでも呼びたい傑作に仕上がっている。また前作同様レコーディング・エンジニアを務める新世代ミナス・シーンの最重要人物、レオナルド・マルケスの功績も見逃せないところ。驚くべきことに、本作はヴォ―カルも含めてすべて一発録りとのことだが、彼のサウンド・プロデュースなしにこの完成度は実現不可能であろう。ここ数年日本でも大きな話題となったチン・ベルナルデス、レオナルド・マルケス、フーベルといったブラジルの若きアーティスト達に続く新たな才能、ムーンズ。ブラジルという枠をこえて聴かれるべき、ブラジル・オルタナティヴ・ロック傑作の誕生だ。
■ ライナーノーツ : 岡田拓郎
■ 歌詞対訳付 : 佐藤美香
https://youtu.be/e0Xc-R_fA5M
https://youtu.be/2kS8lkDTBEM
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