アルフレッド"エル・インカ"リナレスほど、サルサの歴史の中で愛されるミュージシャンは少ないだろう。キューバ音楽に通じる雰囲気と強烈なスイングが、プログレッシブなアレンジと妥協のないフレージングと融和する彼の音楽に魅了される人は年々増えている。
先日のレコードストアデイで復刻された 1969年作も話題となったが本作『Lo Que Tengo』はそこから約10年後の1980年にベネズエラのミュージシャンと録音された作品。当時はファニアを中心とした本場NYの牽引により、サルサ全体のレベルが飛躍的に高まった頂点ともいえる時期。本作で聴ける演奏も、当時、そして現在の本場NYの超一流楽団と比べても何ら遜色のない、熱く滾るような演奏が頭から尻尾まで詰まった、まさにサルサ史に残るパフォーマンスばかりである。それもそのはず、リナレスのもとに集ったメンバーは当時のベネズエラ・サルサを代表する楽団であるマンゴー、マデラ、エル・トラブーコ・ベネスエラーノ、ロス・デメンテス、ロス・メロディコス、グアコ、ディメンション・ラティーナ、そしてサルサ・マジョールといった楽団のメンバー達。アルフレッドの紹介から高らかにスタートするカンタンテ&コロがけん引するジャジー・サルサに始まり、哀愁漂うホーンズも印象的なパチャンガA2、鳥肌必至の濃密デスカルガA4、リナレスのコンポーザーとしてのセンスも冴えわたるB2、躍動感に溢れた王道ど真ん中なサルサB3...などなど、どの楽曲もフロア、ダンサーを狂喜乱舞させること間違いなしの好曲ぞろい。極めつけはラストに収録されたリナレスのピアノとヴィヴラフォンが炸裂するインスト・デスカルガ "Friends" だろう。サイケなイントロから始まり、ヴァイヴによるテーマ部からピアノ、ヴァイヴ、ティンバレスと次々に鬼気迫るソロの応酬が繰り広げられる、洒脱にして鬼気迫る圧巻の一曲だ。
南米サルサならではの尖った雰囲気がありつつも、現代サルサに通じる洗練されたグルーヴも兼ね備えた、まさに最強盤。DJ、ダンサー、そしてジャズ・ファンにまで推薦したいサルサ史にのこる名盤である。
https://vampisoul.bandcamp.com/album/lo-que-tengo
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