大阪拠点のコンポーザー・パフォーマー、7FOがその名を広めた名盤『竜のぬけがら』(2018)以来、満を持してエム・レコードから発表する待望のニューアルバム。そのイメージは「質量」。
ある日、ふと道でひろった石が7FOの掌で割れました。音楽家である前に東アジア人という属性をもつ7FOに突如開いた説明のつかない「自然」、そこに音楽家という性(さが)が作動して掴み取った「音の種」のようなものを育て、ある種の媒介者として、自然に投げ返した音の群れ、それが本作だと思われます。音に質量は無いはずなのに、このアルバムの音には手で触れられる実体があるかのようです。かつて武満徹は「自分を超えた自然や未知の響きに対して、自らを投げ出すことによってのみ、本当の音に出会うことができる」と言いました(『音、沈黙と測りあえるほどに』)。「質量」という言葉には、ダイナミクスのないノイズ、金属的響き、耳をつんざくダンスフロアの狂乱、様々な形態のドローンなどの音響イメージが思い浮かび、それぞれは独自に「重厚」と言えますが、7FOは重厚の異なる側面を探求しました。密度の高い低周波、彫刻のように凝縮された音の塊、微妙に揺れ動く重力場、躍動感あふれる喜びと滲み出るようなユーモアの集合体です。2024年から2025年にかけて録音された本作で、7FOはドラムマシン、ギター、シンセサイザーと音楽的ビジョンを8つのコンパクトな構造に集約しています。これらの構造は、アメリカの戦前ブルースの強烈なエッセンス、エチオピアの伝統音楽の魂からも部分的にインスピレーションを受けています。『ひろった石が割れた』のラストを飾る「しろへび」は、7FOの7インチ・シングル「ヒーリング剣」(2023年)のB面に収録された「蛇」をアップデートしたものです。「蛇」は、このアルバムの制作のきっかけとなった曲で、ヘンリー・ロリンズのラジオ番組でも紹介されました。音の種を視覚的に育てたようなアートワークは飛鷹宏明によるものです。
https://emrecords.bandcamp.com/album/hirotta-ishiga-wareta
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