
ブラジル経済の中心であり南米最大の都市サンパウロの音楽史を実証するかのように、バイタリティあふれる活動と飽くことなき実験精神で10年以上活動を続けるカイシャ・クーボ。ECMのレインボースタジオで録音されたことでも話題となったデビュー作を筆頭に、初期作はどちらかといえばオーソドックスなピアノ・トリオだったものの、2020年の『Angela』、シェニア・フランサらをゲスト歌手に迎えた2023年の『Agora』など、近年はシンセサイザーを多用したサウンドへと進化。アジムス、アントニオ・アドルフォ、セーザル・カマルゴ・マリアーノ、マルコス・ヘゼンヂといったブラジリアン・ジャズ史を形成してきたレジェンドたちの系譜を受け継ぐ、独自のジャズファンク、サンバジャズ、クロスオーバー・サウンドを展開してきた。そんなカイシャ・クーボの最新作が本作『Modo Avião』だ。
タイトルは直訳すれば「飛行機モード」となるだろう。多彩でときにトリッピーなシンセサイザーの音色、印象的なベースリフ、ブラジルの豊かな音楽遺産を換骨奪胎するような変幻自在のドラミング...。先述したブラジリアン・ジャズ~器楽音楽のレジェンドたちが1970-80年代に残した作品群のエッセンスをしっかりと継承しつつ、リズムやハーモニーにおいては現代的な解釈もまじえ、さらにその可能性を発展させている点がなんとも頼もしい限りだ。
アジムスやマルコス・ヴァーリ、マルコス・ヘゼンヂ、エルメート・パスコアルといったアーティストの音源を世界に広めてきた Far Out Recordings からのリリースというのもポイント高し。新進気鋭のブラジリアン・ジャズファンク・バンドから、ブラジルを代表するバンドへ。本作で一気にブレイクすること間違いなしだ。
https://caixacubo.bandcamp.com/album/modo-avi-o
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